ALに導入するための概要

★アクティブ・ラーニングに導入するための 創造性や主体性を伸ばす安全教育
(2015~18.科研報告書(科研(C)15K00963)【pdfファイル4MB

       

概 要

 イノベーション(技術的革新による社会変革)を担う技術者教育として,近年,学生が地域に出て技術の社会実装プロセスを体験する教育実践が盛んになってきた.学外での活動は大きな教育効果が得られる一方,指導者は安全性と,創造性・挑戦性との両立に苦慮し,どちらかを犠牲にしてしまうという潜在的な問題がある.社会実装教育では,安心・安全を当然のものとして埋め込んだものづくり・製品開発,社会提案の基礎となる「安全配慮姿勢」「安全創出意欲」の醸成と同時に,「リスク管理能力」を育成する好機会となり得る.

 本書では,筆者の富山高等専門学校在職中の社会実装教育実践と,技術室にて取り組んだ環境安全教育研究の成果をふまえて,一般的なアクティブ・ラーニングにも適用できる,「安全性を重視したイノベーション力」と「リスク管理・安全行動能力」を効果的に育成する実効性の高い安全教育を構築した.

 構築の過程で,社会連携型の教育・研究における海外の安全教育実践事例を調査し,その知見を,これまでの研究成果である認知主義や状況主義理論に基づいて開発した学生実験用の環境安全教育手法に付加し,社会実装教育に適用することを視野に入れて教育プログラムを提案する.

        

目次

概要…………………………………………………………………………………5
1.アクティブ・ラーニングで
  リスク管理能力や安全配慮姿勢を育成する重要性
1-1.マニュアル順守型安全教育から主体的実践型の安全教育へ………6
1-2.日本のアクティブ・ラーニングにおける安全教育の現状…………6
1-3.提案する安全教育プログラム…………………………………………7

2.創造性や主体性を伸ばす安全教育とは
2-1.安全教育で育成したい力………………………………………………8
2-2.現状から目指すべき安全教育を考える………………………………8
2-3.講義型から認知理論に基づいた体験型へ……………………………10

3.教育プログラム開発の基本的な考え方
3-1.教育プログラムをデザインすること…………………………………12
3-2.動機づけ…………………………………………………………………12
3-3.メタ認知…………………………………………………………………13
3-4.足場かけ…………………………………………………………………13
3-5.認知領域のタキソノミー………………………………………………14

4.教育プログラム
4-1.風土や文化的な要因に働きかける取り組み ………… …………… 15
 ① 有識者や専門家による研修会  16
 ② 参加型の安全教育イベント  16
 ③ 問題発生時及び定常時における
  “ マルチステークホルダー間” 協議会の設置  16
4-2.管理的な要因に働きかける取り組み …………………………………16
 ① 掲示物やマニュアルなどの工夫  16
 ② 設備の点検と整備  17
 ③ ハードおよびソフト両面からの一体的・継続的な取り組み  17

4-3.訓練や知識不足など,未熟さに対処するための取り組み …………17
4-3-1.行動主義的教育プログラム …………………………………………… 17
 1. チェックシート・マトリックスと各種チェックシート  17
 2. ヒヤリハットの教材化Ⅰ  23
4-3-2.構成主義的教育プログラム …………………………………………… 23
 1. イラストを使った簡単な危険予知トレーニング  23
 2. 危険実験の演示  24
 3. 教育動画やDVD 等の視聴と演習問題や意見交換  24
 4. ヒヤリハットの教材化Ⅱ  25
4-3-3.状況主義的教育プログラム …………………………………………… 27
 1.ワークショップ型安全教育  27
   -学期,単元などの最初に行うワークショップ  27
   -起こったヒヤリハットや事故などの事例から
    教訓を得るために行うワークショップ  28
   -授業の最初の5 分を利用して行うミニワークショップ  29
 2. 危険予知トレーニング  29
   -中央労働災害防止協会「KYT4 ラウンド法」を応用した
    危険予知トレーニング  29
 3. HAZID 会議の手法を利用したハザードに対する感性を磨く訓練  33
 4. アクションチェックリストの作成  36
 5. ブラインド・シミュレーション  37
 6. Problem/Project-Based Learning(PBL)に埋め込む安全教育  39

5.検証と課題 …………………… …………………………………………… 41


参考文献  ………………………………………………………………………… 43