カナダの医学系から世界の工学へとProblem-BasedLearning が発展、普及した流れとは別に、長い時間をかけて工学教育におけるプロジェクト教育の伝統がデンマークに、時を同じくして独自に出現した。
デンマークの工学教育でPBLが生まれた背景には、60年代後半の激しい学生運動と、技術者に新しい能力を望む産業界からの要望があった。それに続く70年代の社会科学の急激な変化に対応したプロジェクト研究は、現代のヨーロッパの国々(特にデンマーク、ドイツ、オランダ)での社会変革を可能にした要因の一つとみなされている。
そのような背景のもと、プロジェクト教育のためにデンマークに創設された大学の一つであるオルボー(Aalborg)大学において、1974年の創立時からカリキュラムにProblem/Project-Based Learningを体系的に組み込み40年近くに渡り発展させてきたAalborg Modelが、工学系PBLユネスコチェアとして世界各国のカリキュラム改革や教育改革の基となった 現在、オルボー大学のPBLは個の能力を育成する学習に留まらず、チームによる知の創出と社会変革を目標に置き、PBLによる工学分野のESD(Education for SustainableDevelopment)に関する研究センターも設立され、発展し続けている。